今回紹介する本は「Game Engine Architecture」という本です。私はすでに洋書で読み終えたんですが、12月2日に日本語版が発売になりました。
この本は「アンチャーテッド」シリーズの開発者が自分の経験を生かし、「ゲームエンジンとは何か」という内容を扱っています。
全体の流れとしては、まずゲーム開発に必要なツール、役立つツールと3D空間の概念を理解するために必要な基本3D数学を紹介します。続いてゲームエンジンが備えておくべき「低レベルシステム」はなにか、実際のエンジンはどんな機能を持っているかなどを扱います。低レベルシステムにはゲームリソース管理、ファイルの入出力、オブジェクト管理、ユーザ入力の処理、ゲームメインループの設計などの内容が入っています。
続いては最近もっとも重要性が高くなっているグラフィックとアニメーションの扱い方について述べています。モデルデータのアニメーションの混合や最新のグラフィック手法、リアルタイムシャドー処理など多彩な内容を扱います。
そして衝突検出をはじめとする物理演算に関連する内容に入ります。最近のゲーム開発現場でもっとも利用されている物理エンジンの紹介や、物理エンジンを直接設計するにあたって考慮すべき項目など物理演算に関する全体的なイメージをつかめるよう大まかな内容で話がどんどん進みます。
物理エンジンの次はいよいよゲームプレイに関する内容です。実際のゲームをどうやってデザインすればいいのか、そこでエンジンはどんな役割を担当するのかなどを説明します。
この本は一個一個の項目について専門書のように丁寧に説明している本ではありません。しかし、ゲームエンジン開発者が語るゲームエンジンのイメージや、実際のゲーム開発で直面する問題に今までの開発者はどうやって対処してきたか、そういった先人たちの物の考え方に接することができます。つまり「ゲーム開発ということはどういうことか」を知り、より広い視野でゲーム開発を理解するのに役に立つ本だと思います。
ちょうど今、日本語版が発売されていますので、ぜひ一度読んでみるのをお勧めします。
※ 2023/02/10 第3版のリンクに変更しました。
購入リンク :